海面を探る技術
 
   海洋の水質を分析する方法
海とかもめ
海水中の化学成分を調べる方法はふたつあります。ひとつは海水中で調べる方法、もうひとつは観測船から採水具を吊下して船上で調べる方法です。しかし、これらの方法は、広い海洋の中では点にすぎない船で行うわけですから、調査海域が限られてしまうのが現状です。数時間から数ヶ月のスケールで変動する海洋表層の現象をすべて船舶で追跡することはほとんど不可能といえるでしょう。


現在問題になっている水質の汚染や地球の温暖化について調査し将来の対策を立てるためには、海洋の機能とその変動をグローバルに長期間継続観測し海流や温度の変化をダイナミックに知ることが重要です。


 
 リモートセンシングに期待される役割

目には見えませんが、海の構造も大気と同じようにいくつもの層が重なってできています。表面近くの構造を変化させる要因は、大規模なものとしては日射量の季節変動にともなう海への熱の供給の違い、中・小規模なものとしては風、冷却、渦の通過、海流の変動などがあげられます。それらの過程は海域あるいは季節によって変動し、一定の変動パターンがみられることもあります。生物活動にともなう海洋の物質循環を明らかにするためにはそれらの海域ごとの混合や流動の過程と、それによって決まる生物、化学過程の特性を把握し、それを全海域に広げていくことが重要です。


リモートセンシング(遠隔測定)に期待される役割は、不連続的な船舶観測を補完することです。人工衛星によるリモートセンシングは、広い海域を同時に繰り返し測定できるため、船舶観測を補うものとして理想的と考えられます。


 衛星画像解析ソフトウェアの開発

当社は、衛星画像から海洋の水質分析を行うための研究開発を行い、実績をあげています。皆さんにもおなじみの米国の観測衛星ランドサット(LANDSAT TM)、フランス国立宇宙研究センターの観測衛星スポット(System Probatoire d'Observation de la Terra)、インドのリモートセンシング衛星IRS(Indian Remote Sensing Satellite)、そして日米共同開発による衛星搭載光学センサASTER(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer)等の人工衛星からの画像を解析し、水温分布図、濁度分布図、植物の被覆率と活性度の分布図などを作成するための処理アルゴリズムの開発などを行っています。衛星データ処理・解析業務にご関心の向きはご一報ください。



東京湾の濁度分布
東京湾の水温分布