令和2年度国交省ICT実施要領準拠

マルチビームデータ処理ソフトウェア

 

MD4ロゴ.PNG  MarineDiscovery 13

 Marine Discoveryとは

MarineDiscovery13 カタログ (PDF)

MarineDiscoveryは、マルチビームデータの処理・解析結果の出力品質の向上に優れた能力を発揮するソフトウェアです。

マルチビーム音響測深機の収録データをMarineDiscoveryフォーマットに変換することにより、統一された手順による処理および管理ができます。

MarineDiscovery13では、CUBE機能、海上地盤改良工計算、等深線作成機能、ファイル分割機能が充実しました。

[MarineDiscovery13新機能]  

CUBE機能の拡充
・断面表示やMap Sheetの保存・読み込みによって、仮定深度を効率的に手動編集する機能の追加
・CUBE-LMDファイルの出力機能の追加

海上地盤改良工計算の追加
・i-Constructionの海上地盤改良工計算に対応

水路測量業務準則施行細則に則った等深線を作成する機能の追加
・水深0m、2m、5m、10m、20m、30m、100m、200mの等深線を作成

ファイルの分割機能の拡充
・指定多角形内のグリッド・TIN・等深線を抽出する機能の追加
・指定水深帯内のグリッド・TIN・等深線を抽出する機能の追加

その他追加機能
・プレフィルター
  AIフィルター(MANTA、MANTL)の搭載
  MANTLの学習データの拡充
・メインメニュー
  スマート処理支援にAIフィルター(MANTL)を搭載
・グリッド化
  グリッド化パラメータのインポート・エクスポート機能の追加
・差分・土量計算
  指定多角形内の差分・土量計算機能の追加

 

 

 marine_discovery3.PNG

上図はマルチビーム測深器による調査データをMarineDiscoveryで処理した南海トラフ周辺海域の海底地形の立体視画像です。MarineDiscoveryで作成したグリッドデータをもとに、異なる2方向から光を当ててできた陰影を合成することにより作成しました。


南海(なんかい)トラフとは四国南の海底にある水深4,000m級のトラフ(深い溝の意)のことで、極めて活発かつ大規模な地震発生帯と言われています。南海トラフ北端部は駿河湾内に位置し駿河トラフとも呼ばれています。

 

 MarineDiscoveryの特徴
 
  1. 多種のマルチビーム収録ファイルを同一の手順で操作、多彩な出力 
  2. 各種補正による品質向上 
  3. エラーデータ除去による測深精度維持 
  4. CUBEによるノイズ除去作業時間の大幅な短縮
  5. グリッド・等深線による可視化 
  6. 多様なスタイルの図面作成機能
  7. 断面線の作成から断面図を一括作成 
  8. ファイル変換によるCADやGISへのデータ移行 
  9. 水深選択 拡張機能
  10. 充実した計画測線作成機能
  11. その他の便利な機能 
  12. i-Construction対応 (令和2年度国交省ICT実施要領準拠) 
  13. 水路測量成果品品質評価支援ツール QUEST (OPTION)
  14. 測量データ自動処理・自動図化機能 

■ 測深データの入力

 

 

多種のマルチビーム収録ファイルの読み込みに対応
MarineDiscoveryは多様なマルチビーム音響測深機の収録ファイルの読み込みに対応しています。読み込んだデータは、MarineDiscoveryフォーマットに変換することにより、統一された手順で収録データの処理および管理を行うことができます。

マルチビーム音響測深機の収録データフォーマットとして、ACF、ALL、KMALL、GSF、HSX、Imagenex、LOG、XSE、MB41、NM、S7K、XTFなどに対応しています。 

また、デュアルヘッドにも対応しています。
デュアルヘッドのS7Kファイルに対応しました。 

■ 測深データの解析・補正

 

□ 外部ファイルの読み込み
測位情報、動揺情報、センサー水深情報を外部ファイルから読み込み、補正に利用することができます。


□ 航跡編集
調査時の航跡データにはGNSS受信の不備などにより、不良測位が記録される場合があります。また、急旋回部分のデータは一般に品質が悪く、使用に適しません。このような不良データを平面図上に描画しマウス操作で削除することができます。

航跡編集.png

      航跡編集

   
 

測深データへの様々な補正
様々な補正により測深データ品質を向上させることが可能です。パラメータを設定し、膨大なデータに対して一括で補正を行う機能もあります。
HSXフォーマットにおいてGNSSによる高度情報の読み込みに対応しました。これにより地球楕円体基準からDL基準に変換し、水深値を求めることができます。
動揺データを時系列で移動平均し外れた値を削除する機能を追加しました。

 

  • 音速度補正
  • ソナーバイアス補正
  • センサーオフセット補正
  • センサーレイテンシー補正
  • 潮位補正
  • 動的喫水補正
 

音速度補正.png     バイアス補正.png   

  音速度補正イメージ             バイアス補正

                   (白線:補正前、緑線:補正後)      

 

オフセット補正.png

センサーオフセット補正イメージ

   
 

エラーデータ除去による測深精度維持
エラーデータ除去による測深精度を維持することが可能です。

  • 不良測位データの除去機能
  • IHO S-44に準拠したフィルター
  • プレフィルター
  • 手動除去機能
  • 効率的なノイズ除去機能 
 

□ 自動ノイズ除去
以下にあげる自動ノイズ除去機能を利用することができます。

  • スワス角度やビーム番号等の閾値によるプレフィルター
  • CUBEフィルター
  • 平面推定フィルター
  • 中央水深フィルター
  • ヨー、動揺フィルター

中央水深フィルター.png

     中央水深フィルター

□ 点群データファイルに対するノイズ除去 
点群データファイル(以下参照)に対して目視によりノイズ除去を行うことができます。
表示ピング数とスクロールピング数の同期機能を追加しました。

  • 点群ファイル(.las、.las2)
  • ピングファイル(.ping)
  • CSVファイル(.csv、.xyz)
 

CUBEによるノイズ除去作業時間の大幅な短縮  
CUBE(Combined Uncertainty and Bathymetry Estimator)は総合的不確実性(TPU: Total Propagated Uncertainty)と統計的手法をもとにグリッドの水深値、不確実性(PU:Propagated Uncertainty)を仮定し海底地形を作成する手法です。ニューハンプシャー大学のブライアン・カルダー博士によって開発され、当社にライセンス提供されています。

CUBEフィルターはCUBEによって得られたグリッドの水深値と水深点の水深を比較し、設定した閾値以上の水深差がある水深点を自動除去します。ノイズ除去にCUBEフィルターを活用することで従来のノイズ除去作業に比べて作業時間を飛躍的に短縮したという実例が全世界で多く報告されています。


下図はノイズ除去を行う前に水深点からグリットを作成したものとMarineDiscoveryのCUBE機能によって得られたグリッドを比較しています。CUBEにより得られたグリッドは全体的に滑らかになり再現性の高い海底地形となっています。


□ 補正結果の埋め込み
水深点ファイルにノイズ除去した情報を埋め込むことができます。ノイズ処理後に補正の間違いに気がついた時、埋め込まれたノイズ除去情報によりノイズ除去のやり直しを行い、正しく補正し直すことができます。

   
 md-9.png  md-10.png
 ノイズ除去前のグリッド  CUBEにより得られたグリッド

 

 

□ 効率的なデータ処理
MarineDiscoveryは収録データをプロジェクトごとに整理できるので、効率的にデータの処理および管理を行うことができます。ファイルの一括読み込みや、航跡図からのノイズ除去アプリケーションの起動、CUBEアルゴリズムを使用した自動ノイズ除去フィルター機能などを活用し、効率的にデータ処理を行うことができます。 

複数表示_ノイズ除去.png

   複数測線同時表示およびノイズ除去

測深データの管理

 

□ ランダム水深データ(正データ)の作成
点検後のランダム水深点データを正データとして出力できます。

 

□ 図化データの品質管理

水深点データから計算し出力したグリッドデータについて、水深点と比較することによりデータ品質を管理します。品質管理のため、グリッドの信頼性を視覚的に確認する機能を搭載しています。グリッドデータと水深点を重ね合わせ、品質基準以下のグリッドを発見するとともに、結果をフィードバックすることにより品質の向上を図ります。

計画測線や任意点ファイルを図面に表示する機能を追加しました。

また、 HydrOfficeが提供しているQCtoolsを組み込み、ガウス曲率やラプラシアンの値からスパイクノイズを抽出する機能を追加しました

 md-12.png   md-13.png  md-14.png
 平面表示  3次元表示 断面表示
 グリッドに関与する水深点の数を明らかにする  グリッドと水深点の水深差を明らかにする  グリッドと水深点の水深差を定量的に検証する
   

■ 測深データの図化

 

グリッド化・等深線作成
マルチビームデータの可視化のために、水深値を等間隔に並べたグリッドファイル、マルチプルグリッドおよび等深線ファイルを作成することができます。 

 
  • グリッド化

測得水深を含むグリッドのみにデータを発生します。補間も可能です。各グリッドの値として、含まれる測得水深の最浅値や平均値等を設定します。

 

 

投影したグリッドファイルを出力する設定の場合、球による平滑化を行うことができます。グリッドの上に半径rの球を乗せ、球と接することができないグリッドを、球に接することができるように浅くして平滑化します。 

 

 

  • 等深線計算
グリッドファイルまたはランダムグリッドファイルから計算します。動的に三角形(TIN)を計算し、等深線を計算します。グリッドのない部分は等深線を出力しません。グリッドサイズを動的に小さくして、滑らかな等深線の計算が可能です。
等深線を深い側へ平滑化することができます。半径rの円を深い側から等深線に沿って転がし、円が入らない部分の頂点(図の青丸)を削除し、その代わりに円弧(図の緑丸)で埋めます。 

グリッド化.png

グリッドファイルの球による平滑化 .png

 

等深線作成.png

等深線の円による平滑化.png

 

□ 投影座標系
任意原点を中心とした回転座標系に対応しています。(平面直角座標系やUTM 座標系などに対応しています)

□ 多彩なファイル出力

収録データから作成したグリッド、等深線、航跡データをもとに、等深線図、航跡図、水深点図、音圧図、傾斜量図、差分図、3次元図、断面図などをJPEG画像、DXF、PDF、Postscript等様々なファイル形式で出力することができます。DXF、Shapefile等を平面図の背景に表示し、図面情報、インデックスマップ等を自由に配置できます。グリッドをGeoTIFFに変換する際には、色と陰影を付加させ、地形を把握しやすくします。  
LandXMLファイルをTINファイルに変換する機能を追加しました。 

また、鳥瞰図を3D PDFに出力することができます。        
 (→ 3D PDF サンプル [沈船の3次元画像]はこちら)

出力ファイルフォーマット一覧

水深データ 等深線 画像 グリッド
ASCII Ping ASCII Contour GeoTIFF ASCII Grid
XYZ Contour   netCDF
mb41 Shapefile   Shapefile
LMD DXF   XYZ
Shapefile of Track KML   DXF
BAG S57   KML
      LandXML   ICT 
 

MarineDiscoveryからの出力図 

md-1.png md-2.png md-3.png
 等深線図 航跡図 水深図
md-4.png md-6.png md-5.png
 傾斜図   音圧図   3次元図
md-7.png md-8.png  
差分図 指定した2点間の断面図  
 

 

□ 平面図の作成
作成したグリッド、ランダムグリッド、等深線、航跡を可視化し、プリンター、プロッター、PDFに出力します。インデックスマップ、図面情報、スケールなどを自由に配置した図面を作成できます。DXF, Shapefile, GeoTIFFファイルは図面の背景に表示可能です。   

 md-15.png  
md-16.png
 md-17.png
図化例 水深図の図化例 インデックスマップ付の図面作成例
 

 

断面図の作成
始点、終点の緯度、経度、断面線の作成範囲、断面線の間隔を設定すると自動的に断面線が作成されます。作成したグリッドと断面線をもとに、断面図を自動的に作成します。断面図の表示範囲、スケール、色などを設定できます。
 md-18.png

断面線の作成例

 md-19.png  md-20.png 
 断面図の図化例 インデックスマップ付の断面図の図化例
 
 

水深図の作成
拡張機能により、TIN評価に加え、ボロノイ図を利用した評価、独立浅所判定機能等、多彩なアルゴリズムによる水深選択(海図用の水深点)を実行し、水深図を作成することができます。

 その他の便利な機能  
 

計画測線作成機能
充実した計画測線の作成ツールを備えています。矩形範囲の測線作成に加え、中心線に対する直行測線、平行測線、井桁側線の作成が簡便にできます。補測の測線もワンクリックで挿入可能です。

 井桁測線.png

□ 測量計算 

緯度経度⇔XY計算

・経緯度計算

・海水中の音速度計算

・離心更正計算、高低計算

・水平距離・標高計算

 

 

■ 入力フォーマット 

  • 測深データ
  ACF: Teledyne Reson社マルチビーム音響測深機HYDROSWEEP
  ALL、KMALL: Kongsberg社マルチビーム音響測深機EMシリーズ
  GSF: SAICⓇ社Generic Sensor Format
  HSX: HYPACK社統合型水路測量ソフトウェアHYPACKⓇ
  LOG: 古野電気社海底地形探索装置HS-600F
  XSE、MB41、NM: L-3 ELAC Nautik社マルチビームシステムSeaBeam
  XTF: Triton ImagingⓇ社 eXtended Triton Format
 

SAICはScience Applications International Corporation社の登録商標です。
HYPACKはHYPACK社の登録商標です。
Triton ImagingはTriton Imaging社の登録商標です。

 

  • 各センサーからの情報
   潮位、ヘディング、動揺、センサー水深を外部ファイル(CSV形式)から読み込み可能です。 
   
■ 動作環境
  OS Windows 10, 11 (64 bit)
  CPU Intel Core i7 2600K  以上
  メモリ 16GB 以上
  ハードディスク 空き容量50GB 以上
  グラフィックボード DirectX 9.0c 以上対応
NVIDIA GeForce RTX 3050 または
AMD Radeon RX 5500 以上推奨
  モニター 解像度:1400×1050ピクセル 以上
色数:TrueColor 32 bit

MarineDiscovery13 カタログ (PDF)

MarineDiscovery®は、株式会社海洋先端技術研究所の登録商標です。